「こんなに蒸し暑いのに、なんで肌がカサカサ?」
年中夏のような気候が続くシンガポール。湿度も高く、乾燥とは無縁に思える環境ですが、実際には「肌の乾燥」や「カサつき」で悩む人が少なくありません。
特にお子さんの肌はデリケートで、気づかないうちに乾燥が進んでいることもあります。
実は、シンガポールの生活環境には乾燥を引き起こす要因がいくつも潜んでいます。
今回は、シンガポールという特別な気候の中で子どもの肌を健やかに保つためのケア方法や、気をつけたい生活習慣についてご紹介します。
乾燥肌が引き起こす肌トラブル
乾燥肌の症状は肌のかさつきやごわつき、粉が吹くなどが挙げられます。
乾燥症状が進むと衣服のこすれや、洗剤などのわずかな刺激でもピリピリとした刺激感やかゆみ、ひび割れなどの症状がでることもあります。
また、掻き過ぎてしまい傷跡が残ったり色素沈着になる場合があります。
特に子供の肌は、大人と比べると皮脂腺の発達や水分保持の機能が未熟なため、乾燥肌になりやすくなります。
年中高温多湿のシンガポール、“乾燥”を生む要因とは?
シンガポールの年間の平均湿度は84%と高く乾燥とは無縁に感じますが、実は意外な要 因によって子どもの肌が“乾燥状態”に陥っているケースが少なくありません。
◇季節
シンガポールでは4月から9月頃は「乾季」と呼ばれ、気温が上昇し降水量が低下する季節に入ります。
空気も乾燥し湿度が下がるため、乾燥肌になりやすくなっていきます。
◇エアコン
エアコンの冷房が効いた室内で長時間過ごしていると、肌から水分が失われやすく、肌が乾燥しやすくなります。
また、気温が高い外からエアコンが効いた涼しい部屋に入ると、一気に肌の水分が蒸発します。
汗をかくこと・乾燥を繰り返すと乾燥肌になりやすくなります。
◇プール
日中利用するプール施設などでも注意が必要です。
プールの水質を保つために、塩素が多く使われています。
塩素が溶けたプールの水に触れることで、肌を覆っている皮脂を奪うため皮膚が乾燥します。
◇紫外線
バリア機能が正常に働いている健康な肌は、うるおいが保たれ、外部刺激の影響を受けにくくなっています。
ところが、紫外線ダメージを受けると肌のバリア機能が低下し、水分が失われやすくなってしまい乾燥肌になりやすくなります。
◇刺激の強いボディソープの使用や洗いすぎ
洗いすぎや刺激の強いボディソープの使用も要因の一つです。
特に子どもの肌はデリケートなため、肌のバリア機能を低下させ、乾燥やトラブルの原因になります。
乾燥肌を防ぐためにできること

保湿剤の活用
「肌に優しい保湿剤や保湿クリームなどを使用する」「通気性の良い衣類を選ぶ」などの対策はもちろんのこと、汗をかいたらこまめに拭きとる、水分を摂る、クーラーが強い部屋では加湿器の利用などの工夫も大切です。
ローションタイプ
伸びがよく、さらっとした使用感。
水分量が多いため、肌への浸透性が高く、肌にうるおいを与えることが可能。
クリームタイプ
油分が多く、しっとりした使用感。
長時間肌に潤いを保ち、乾燥を防いでくれる。
ローションタイプで肌に水分を与えた後にクリームタイプでしっかり保湿するとより効果的となります。
製品のパッケージに書かれている「低刺激」「無着色」「アレルギーテスト済み」など記載のある製品を選ぶと安心して使用できます。
お風呂上りなど、皮膚の水分が蒸発することで肌が乾燥しやすくなるタイミングでは、積極的に使用しましょう。
適切な水分摂取
乾燥肌を予防するためには水分補給が欠かせません。子供の体重の70~80%、成人の体重の約60〜65%は水分でできているといわれています。
成人が1日に排出する水分量は、肌や呼吸から失われる約0.9L、排泄で約1.6L、あわせて約2.5Lとされています。
最低でも1日に2Lの水分を摂取すると良いでしょう。
水分補給をこまめに行い、体の中に水分をためる状態を作ることで肌の潤いにつながります。
麦茶や水がおすすめですが、スポーツ飲料などは飲み過ぎるとエネルギーの過剰摂取につながるので注意しましょう。
コーヒーや紅茶、緑茶などのカフェインが含まれるものには利尿作用があるため、過剰摂 取すると身体の水分が失われやすいといわれています。
参考:推奨される水分補給量目安の算出式
年齢 | 推奨される水分補給量目安(体重kg当たり) |
---|---|
新生児(生後1か月まで) | 50~120ml |
乳児(生後1か月~1歳未満) | 120ml~150ml |
幼児(1歳~6歳) | 90ml~100ml |
学童 | 60ml~80ml |
*食事からの水分補給も含みます。
食事
食事も肌の乾燥を防ぎ、潤いを保つ上で重要です。
食事の内容を意識することで腸内環境が改善され肌の水分量が上がることで、お肌の調子が整います。
「タンパク質・脂質・炭水化物」を基本に「ビタミンA」「ビタミンC」「ビタミンE」などの栄養素をとりましょう。
・ビタミンA:バター、ホウレンソウ、ニンジン
・ビタミンC:パプリカやブロッコリー、レモン
・ビタミンE:アーモンドや卵、かぼちゃ
といった食べ物に多く含まれています。
まとめ
シンガポールの年間の平均湿度は84%と高く乾燥とは無縁に感じますが、実は意外な要 因によって子どもの肌が“乾燥状態”に陥っているケースが少なくありません。
☆保湿は「お風呂上がりすぐ」に!
肌の水分が蒸発する前に、低刺激で高保湿なクリームやローションでしっかりケア。
☆肌にやさしい衣類を選ぶ
通気性・吸水性に優れたコットン素材がおすすめ。タグや縫い目の刺激にも注意。
☆日焼け止めは「子ども専用」「低刺激タイプ」で
紫外線によるバリア機能低下を防ぐには、屋外遊び前の日焼け止めが必須。
☆プールのあとは必ずシャワー&保湿
塩素による乾燥ダメージを減らすために、速やかなケアが大切。
☆水分補給は「こまめに・意識的に」
特に汗をかいたあとは水や麦茶でしっかり体内からうるおいを補給。
☆食事は「内側からのスキンケア」
ビタミンA・C・Eを含む食品を意識し、肌の修復と保護機能を高める。
乾季、雨季がある高温多湿なシンガポールでは湿度の変化で肌が敏感になりやすいほか、室内でのエアコン利用やプールなどに含まれる塩素、紫外線などが、肌本来の機能を弱めてしまいます。
通気性のいい服を選びローションの保湿を使った予防を行うことはもちろんのこと、適切な水分補給と「ビタミンA・C・E」を多く含む食事で、お肌をトラブルから守りましょう。

監修医師
古東 麻悠 (ことう まゆ)
順天堂大学医学部卒業。日本国内の総合病院で小児・新生児医療に従事。現在は、子どもたちの健康・教育に関わる企業の医療アドバイザーを実施。ライフワークは途上国での医療ボランティア、理念は「すべての子ども達に選択肢を」。2児の母。