シンガポールは、医療制度や生活インフラが整っており、海外移住先としても人気の国です。日本人も多く暮らしており、安心して生活できる環境が整っています。
しかし、そんな中でも注意しておきたいのが「生活習慣病」です。
海外生活は、環境の変化や文化の違いにより、知らず知らずのうちに生活習慣が乱れがちになります。
特に、30代以降の働き盛りや、子育て世代にとっては、病気の「予防」と「早期発見」が非常に重要になります。
今回は、シンガポールに住む日本人が気をつけたい生活習慣病のリスクと、現地での健診・対策方法について詳しく解説します。
生活習慣病とは?
生活習慣病とは、日々の生活スタイル(食事、運動、睡眠、喫煙、飲酒など)が原因で引き起こされる病気の総称です。主に以下のような病気が含まれます
・高血圧
・糖尿病
・脂質異常症(高コレステロールなど)
・高尿酸血症(痛風)
・肥満症
・動脈硬化、心疾患、脳卒中など
これらの病気は初期段階ではほとんど自覚症状がないため、気づかないうちに進行し、突然の心筋梗塞や脳梗塞など重大な疾患を引き起こす可能性もあります。
シンガポール在住ならではの生活習慣病リスク
■ 食事:美味しさの裏に潜む「脂質・糖質過多」
シンガポールは、多国籍な料理が楽しめる食文化の宝庫。
チキンライス、ラクサ、ナシレマ、フライドホッケンミーなどは観光客にも人気ですが、どれも高脂肪・高糖質な傾向があります。
外食が続くと、野菜や食物繊維が不足しやすく、栄養の偏りが出やすいのが難点。特にココナッツミルクを使用した料理や、揚げ物中心のメニューは、コレステロール値や血糖値に悪影響を与えることもあります。
■ 運動:常夏の気候が運動不足の原因に
赤道直下に位置するシンガポールでは、一年中気温が高く湿度も高いため、屋外での運動が億劫になりがちです。車移動や公共交通機関の発達もあって、日常的な歩行量が少ない人も増えています。
特にデスクワーク中心のビジネスパーソンの方は運動不足に陥りやすく、肥満や高血圧、血糖上昇などの要因にも繋がります。
■ ストレスと睡眠:慣れない環境が健康を蝕む
異文化での仕事、英語環境、子どもの教育問題など、精神的ストレスも生活習慣病の引き金になります。ストレスによって自律神経が乱れると、血圧や血糖値のコントロールにも影響が出てしまいます。
また、クーラーの効きすぎた室内環境や、夜型の生活リズムにより、慢性的な睡眠不足に悩まされる日本人も少なくありません。
健康を守るためにできること:検診と早期対応
健康診断の重要性
生活習慣病の早期発見には、定期的な健康診断が最も効果的です。シンガポールでは、公立病院・私立クリニックのほか、日本語対応の医療機関でも各種健康診断を受けることができます。
基本的な検査内容
・血液検査(血糖・コレステロール・肝機能など)
・血圧測定
・BMI(肥満度)
・尿検査
・心電図(必要に応じて)
シンガポール在住の日本人向けに、日本語で結果説明があるクリニックもあり、安心して受診できます。
今日から始める生活習慣病予防:3つのポイント
1. バランスの取れた食事を心がける
週に数回は自炊を取り入れ、野菜中心・減塩・低脂肪な和食スタイルを意識する。食品表示の確認も忘れずに。
2. 軽い運動を毎日の習慣にする
早朝や夕方のウォーキング、室内でのヨガ、エレベーターではなく階段を使うなど、無理のない範囲でOK。
3. ストレスと睡眠を見直す
1日7時間の睡眠を目標にし、週末には趣味やリフレッシュの時間を設ける。メンタルの不調を感じたら、医師に早めに相談を。
まとめ
未来の健康は「いまの習慣」からつくられる
シンガポールは医療環境も整っており、生活習慣病の対策を始めるには最適な場所です。
大切なのは「まだ症状がないから大丈夫」ではなく、「今のうちに予防する」という意識です。
年に一度の健康診断や、オンライン相談を上手に活用しながら、安心できる毎日を送りましょう。

監修医師
古東 麻悠 (ことう まゆ)
順天堂大学医学部卒業。日本国内の総合病院で小児・新生児医療に従事。現在は、子どもたちの健康・教育に関わる企業の医療アドバイザーを実施。ライフワークは途上国での医療ボランティア、理念は「すべての子ども達に選択肢を」。2児の母。